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コラム

成長と成功の違いは?〜成長につながる問いかけコーチング〜

成功は点、成長は線で表せる

「成長」と「成功」、この二つの言葉を聞いて、あなたはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。二つの違いは明確になっていますか?

「成長」と「成功」、どちらも大切で、どちらも喜ばしいことですが、あなたはどちらを大切にしていますか?もしかすると場面ごとに「今は成功を求めるフェーズ」「今は成長を求めるフェーズ」と意識的に分けて考える方も多いかもしれません。私がこれまで出会った多くの成果をあげ続ける人たちは、この二つを自分の中でしっかりと定義付け、使い分けをしていました。

では、「成功」「成長」それぞれの言葉にどんなイメージを思い浮かびますか?もし手元に紙があれば、その違いを絵で表してみてください。絵で表現する場合、言葉よりも具体的が必要とされます。
「成功」をイメージする絵というと、ガッツポーズをしている姿を描く人も多いのではないでしょうか。私が先日行った某スポーツチームでのセッションでは、表彰台の真ん中、一位の場所に立つ姿を描く人が多くいました。以前、プロ野球チームのセッションでこの問いを投げかけたときには、多くの方がたくさんの札束や、車、ビル、家などを描いていましたね。

このワークを子どもにさせてみると、とても生き生きと目を輝かせて、すぐに描き始めるのですが、大人は筆が止まり、なかなか描けない場合があります。大人になればなるほど絵を描くという行為が苦手な人は増えていきますね。これはまた別の話ですが、なぜか大人になると「絵は上手に描かなければならない」というプレッシャーが生まれてしまうんですね。なので、大人にとって絵を描くのは難しいんです。一方、子どもはそんなプレッシャーを感じずに、自分の感じたことを純粋に描くので、とても表現豊かなものを描くことができます。

さて、話は戻り、「成長」をイメージするとどうでしょうか?先程の某スポーツチームでは、サナギが蝶になる姿や、人間が赤ちゃんの姿から四つん這い、立って歩くというような変化のプロセスを描いた方が比較的多かったです。これもまた、別のプロ野球チームでは、筋肉モリモリの人物の絵を描いたり、人が崖を登っていく姿など、いろいろな表現がありました。ぜひ、皆さんの周りでも、このワークを試して、どんな表現が出てくるか観察してみてください。その組織の特徴が出るかもしれませんね。

「成功」と「成長」、次は英語で考えてみましょう。日本語では言葉が似ているので分けて考えづらいかもしれません。成功は「success」「achieve」、成長は「growth」や「progress」ですね。この二つの大きな違い、実は時間軸にあります。「成功」は点で表され、「成長」は線で表すことができます。「achieve」とも表現したように、「成功」は目標の達成というのが一つのポイントだと思っています。目標を設定し、ある時点でそれに到達すれば成功、到達しなければ不成功です。一方で「成長」は自分自身の能力や知力、知性が変化していくこと。過去から現在、現在から未来への時間軸でとらえます。

今の自分が果たして「成長」と「成功」どちらを手に入れようとしているのか。自分が得た結果は「成長」だったのか「成功」だったのか、良く考えてみましょう。今の社会はなんとなく成功を重視する傾向にあり、成功したのかしていないのかが評価の軸となることが多いです。私たちもついつい成功を求めてしまいます。しかし、人生や自分自身のキャリアを長い目で見たときに、本当に自分自身をバックアップしてくれるのは「成長」なんですね。
過去から現在を振り返ると、「こうすればよかったな」と思い返すことがありますよね。そう気づいた時点で、それは成長につながっています。目標を達成したか、しなかったかだけを振り返っても、なかなか成長にはつながらないし、達成していなかったときに満足を得られません。

そう考えてみると、目標を掲げて成功を目指しながらも、ときにはちょっと振り返って自分の変化を感じることで、成長を実感することができるのではないでしょうか。YETMINDを持って、成功のためにまだまだ成長していこうと思う気持ち、そんな姿勢が大事なのではないでしょうか。

さて、皆さんの目指す成功はなんですか?今日は何を成長させますか?今日も一日、自分にこんな問いをかけながら頑張っていきましょう!

株式会社チームボックス 代表取締役
中竹 竜二
福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会 、指導者を指導する立場である初代コーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、一般社団法人スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。著書に『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』(ダイヤモンド社)など多数。
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