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人や組織の成長とは?〜成長につながる問いかけコーチング

人や組織の成長とは?

今日は人や組織の成長についてお話しします。
前回取り扱いたい三つのテーマとして、人材育成・マネジメント・組織文化と話しましたが、この三つに共通している「人と組織の成長」にフォーカスを当てていきます。

多くの人はどうすればうまくいくのか、つまり「成功」に重きを置きがちです。これは悪いことではありませんが、私自身は「成功」よりも、いかに人や組織が変化し「成長」していくかに興味を持っています。
成長のプロセスとして、コーチングの分野でよく言われるのは「Uncomfortable to Comfortable」、つまり「心地悪さから心地良さ」に向かうプロセスを「成長」だと表現しています。

慣れないことや恐れを抱いているもの、不安なことに関しては取り組むときに心地悪さを感じますよね。いてもたってもいられないようなザワつきを感じることもあります。そんな状態が、色々な経験を経て、気づけば心地良い状態へと変化している。この変化を「成長」と呼んでいます。

例えば、「今腕立て伏せをやってみて」と言われたら何回できますか?30回もやればヒーヒー言うかもしれません。ところが、トレーニングを続けることによって、30回ではまったくきつくないどころかウォーミングアップのような回数になるかもしれません。100回以上できるようになったときには、当初苦しくてこれ以上は無理だと感じていた30回が気持ちよくなっているでしょう。これが成長です。

私のようなコーチやリーダーを育てる立場にとって、コーチングの対象者である選手や部下に、いかにUncomfortableを感じてもらうか。「嫌だな」と思う状態をたくさん作るのが最初の仕事です。色々な組織やチームのトレーニングをしていますが、相手に最初から心地悪さを提供することが私の仕事です。心地悪さを提供してくる人なんて、嫌だし不快ですよね。ですが、私としては初めて仕事をする人に「嫌だな」と思われたとき、「よし、ここからこの気持ちをいかに心地良くしていこうか」とスタートを切ることが、仕事のやりがいにもなっています。

「成功」は気持ちいいものですが、「成長」はもしかするとスタート時点では心地悪さがあるかもしれません。日々の生活の中でも、ちょっとした心地悪さを感じたときに「これが成長のチャンスだ!」と捉えられると、その後の成長を感じられる一つのピン留めになるかもしれません。

私自身、こうして収録をすることはまだまだ心地良さを感じていないし、久々に心地悪いです。今後どうやってこの場を心地良くしていくか、自分自身の成長も楽しみにしていきたいと思っています。

 

株式会社チームボックス 代表取締役
中竹 竜二
福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会 、指導者を指導する立場である初代コーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、一般社団法人スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。著書に『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』(ダイヤモンド社)など多数。
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